Tea Break コラムと私記録の先に見えるもの

2005年01月12日

スピード狂の詩

このコラムは、2003年12月17日に書かれたものです。

今年のF-1サーカスは、最終戦までチャンピオン争いの行方が決まらず、激戦の末ミハエル・シューマッハが自身6度目となるワールドチャンピオンを獲得、そしてフェラーリ・チームがコンストラクターズチャンプを獲得し、大いなる熱気の中で幕を閉じた。

シーズンが終了してから2ヶ月がたち、各チームが来期へのテストを進めている頃、イタリアで興味深いイベントが行われた。
フェラーリ・チームが11日、グロッセート空港で2003年シーズンのチャンピオンマシン『F2003-GA』とNATOの最新鋭ジェット戦闘機『ユーロファイター』のスピード対決を実施したと言うのだ。

この対決は、グロッセート空港内に特設された約1kmのストレートで争われ、レースは3回に渡って行なわれた。
600mの距離で争う第1レースは『F2003-GA』にアドバンテージが与えられ、第2レースは900mの距離で『ユーロファイター2000』にアドバンテージ。そして第3レースは1,200mの距離を両者が同じ条件での勝負が行なわれた。

そしてもちろん、赤い羽根馬『F2003-GA』をドライブすのは他でもない地上最速の男「ミハエル・シューマッハ」であった。

第1レースは最高速重視のセッティング、空力パーツを装備した『F2003-GA』をドライブしたM.シューマッハが、最高速369km/hを記録する走りで制したが、モデナ出身の元宇宙飛行士のマウリツィオ・チェリが操縦した『ユーロファイター2000』も短距離での加速が可能なセットアップで挑み、第2、第3レースと続けて勝利。
この対決イベントは1-2で『ユーロファイター』が勝利を飾った。

結果的に破れはしたが、地上最速の男が、地球最速に挑んだ瞬間だった。

ミハエル・シューマッハ、世界最高峰のフォーミュラーワンで、前人未踏の70勝を上げ、6度のワールドチャンピオンを獲得、スピードを愛し、命を顧みない一瞬の煌きと輝きを放ちながら、自らが閃光になるその瞬間を至福の時とする男。

この対決に参加したシューマッハは「非常に面白いイベントだった。今日、この対決に参加できて僕は嬉しかったし、本当に印象的な挑戦だった」と語った。

少年のような興奮気味の顔でそう語ったこの男の目の先には、いったい何が写っているのだろう。

ただ一つ、このシーンを見て私が確信したのは、来期のF1サーカスもこの男が閃光となり、いくつものチェッカーフラッグを浴びるだろうということだ。


tekkoro8145 at 22:57│Comments(0)TrackBack(0)

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